薪の暖かさは、地球に対する暖かさです
狩猟・採集時代の人間が一日に消費したエネルギーは2,500カロリーでした。
ほぼイルカと同じです。
ところが、現在の人間は、地球平均でその12倍、アメリカでは72倍ものエネルギーを消費しています。
一日に18万カロリーも使う動物と言ったらマッコウクジラぐらいのものです。
人はいつの間にか大型動物になってしまいました。億単位の数のマッコウクジラがひしめきあって暮らし、
資源を消費し、廃棄物を出している・・・それが現在の地球です。
環境について無関心でいられなくなった今、
薪ストーブはほしいが、薪を焚くことは環境破壊につながるのではないか、
こう思い悩んでおられる方も多いかもしれません。本当にそうでしょうか?
実は、薪は他のどの燃料よりもはるかに自然に優しい燃料なのです。
まずは石油などの化石燃料と比較して、薪は、木の成長範囲内で半永久的に再生可能な資源です。
下枝を払ったり、混みすぎた木々を間引くなど、山林を適正に管理することは環境の保全になり、
森林破壊にはつながりません。また、建築の端材などの廃材も薪になります。
わたしたちは木を一時お借りしているにすぎません。
薪を燃焼することによる二酸化炭素の排出は確かにありますが、
自然界の炭素の再生と循環の環(バイオマス)の範囲におさまり、また森に帰っていくものです。
現在、残念ながら間伐材などの場合は、ほとんどが山の中で捨てられています。
この場合は腐ってメタンガスとなります。このメタンガスは二酸化炭素と比較すると、
なんと60倍もの温暖化効果があり、薪として燃焼する場合よりもはるかに環境に対する悪影響が出てしまいます。
従って、メタンガスにするぐらいなら、薪ストーブの燃料として使用する事がむしろ良い事なのです。
また、薪はそのままで燃料として使えるのに対し、電気や灯油は加工燃料で、
加工の過程で別のエネルギーを消費し、すでにCO2を生み出しています。
このように、薪ストーブの普及による薪の使用増加は、
適正な山野の管理と林業の振興という点において森林保護の一助にもなりますし、
山の保水力を高め、地下水資源を豊富にし、山の持つ治水力を高めます。
それは、自然に生息する動物達の繁栄にもつながります。
さらに燃やした後の灰は畑における有効な肥料にもなります。
このように、薪という自然界の優れたリサイクルエネルギーを活用する薪ストーブの存在は、
地球環境と共生する優れた暖房器具なのです。